平成23年司法試験合格者
濱田 崇/平成21年度修了生 |
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三期未修で入学した濱田崇です。今回二回目の受験で最終合格できました。
私は恥ずかしながら三回生で卒業要件の単位を落としてしまい一年留年しました。その間は成績も伸び悩んだり、将来のことで悩んだりしました。しかし、岡大のロースクールは教授と学生との距離近いため、勉強のことで質問を行きやすいのみならず、将来のこと等、ロースクールの指導教授として、また、人生の先輩としてアドバイスをいただきました。時には本当に厳しい言葉もかけていただき…今回、私が合格できたのもそのような先生方に出会えたことが大きいと思います。また、新司法試験受験までの道のりは長いため、一人で最初から最後まで頑張るということはすごく困難だと思います。私は日々の勉強のこと、趣味である釣りのこと、何気ない話をすること等、試験合格までの道を共有できる仲間にもめぐまれました。このような関係が築けるのは少人数の岡大ならではだと思います。
司法試験受験科目以外の、実務系の科目でも多くの刺激および体験をさせていただきなした。「医学の基礎」という科目では医学部と連携し、司法解剖を見学することができました。司法解剖の見学は他のロースクールでは聞いたことがなかったので、本当に貴重な経験をさせていただいたと思っています。司法試験の受験科目とは直接は関係しない科目ですが、自分の将来をよりリアルに想像することができるようになり、モチベーション維持にもつながりました。他には、実際の法律相談を行うクリニックで、相談者に直接接することで、「やはり、自分は弁護士になりたい」と強く思いました。判例百選や基本書を読んでいると、事案が単なる文章に見え、「これは実際に起きた事件である」とことを忘れがちになっていた私にとって、原点を思い返す貴重な機会になりました。
合格した今、岡山大学法務研究科に来て本当によかったと思っています。岡大に来て本当に良い刺激、経験ができました。法務研究科の教授の先生方、実務家の先生方、事務のスタッフの方々、本当にありがとうございました。
溝渕 順子/平成21年度修了生 |
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私は、2006年に3期未修として入学しました。もともと、20年以上前の岡山大学文学部の卒業生であり、卒業後は就職、結婚、退職、娘二人を出産というごく平凡な人生でした。ですから法律に関わる機会はまったくなかった、いわゆる純粋未修という立場です。
そんな私でも合格できたのは、ひとえに諸先生方のおかげです。岡山大学大学院法務研究科には、私のような者でも決して見捨てなかった諸先生方がいらっしゃいます。これは大きなロースクールであれば考えられないことだろうと思っています。合格率という成果が求められる以上、より合格の可能性の高い人に力を集約することが最も効果的であることは明らかです。そして、私は最も可能性の低い一人でした。
ですから、後輩の皆さんには「もしも迷うことがあったら、手当たり次第、手を伸ばしてみたらいい」と伝えたいと思います。先生方は必ず手を貸してくださいます。かく言う私も、一年生の時、あまりのどん底状態から、春休みに偶然4階ロビーで出会った井藤先生を無理やり引きとめ、「司法試験に受かるための勉強はなにをすればいいのか」という無茶な質問をぶつけました。そして、それに味を占めた私は、その後手当たり次第先生方を捕まえました。先生方を困らせて回ったのだろうな、と今更ながら苦笑しています。
「求めよ、さらば与えられん」といいますが、どうぞ、自分から動いてください。
鈴木 大士/平成21年度修了生 |
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1 ロースクールでの生活
私は、在学中、ロースクールの自習室を最大限活用していました。自習室は、午前7時から使用可能となるので、私は、毎朝7時には学校に来て勉強を開始できるように心がけていました。というのも、朝は一番頭が冴えた状態であり勉強に適している、と聞いたことがあったからです。また、そうすることによって生活のリズムも安定すると考えました。
私の場合、朝から勉強していると、夕方くらいには集中力がかなり低下してしまいます。ですので、どうしても仕上げなければならない予習や課題がなければ、夕方くらいで勉強を切り上げていました。
2 ロースクールでの勉強
私は、授業の予習が中心の勉強をしていました。復習もきっちりやるのが本当は良いと思うのですが、授業が終わると次の日の授業の予習をしなければならないので、復習をしている余裕がありませんでした。復習は、中間テストや期末テストの直前にまとめてやる、というような形だったと思います。
また、授業とは別に、自主ゼミを組んで先生方にみて頂いていました。岡山大学の良いところは、学生と先生方との距離が近く、勉強に関する質問や相談がしやすいところだと思います。私は、ゼミを組んだり、個人的に起案の講評をお願いしに行ったりと、本当にたくさんの先生方に面倒をみて頂きました。この場をお借りしてお礼申し上げます。
3 最後に
私は、1回目の受験では不合格となり、もう1年勉強を続ける必要がありました。その際、先生方が開催してくださるゼミに参加するなど、卒業生であっても緊張感を持った勉強を継続することができました。これから受験される方は、岡山大学での環境を最大限に生かしていただきたいと思います。
岡本 亮人/平成21年度修了生 |
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こんにちは。修了生の岡本亮人と申します。法科大学院生の生活を紹介します。
院生の毎日は、基本的には自習室での勉強と授業とで過ぎていきます。
授業前、自習室に入り予習します。皆が黙々と勉強する様子は、自分も頑張らねばという思いにさせてくれます。
演習の授業は講義形式の授業とは違い、学生の発言により成立します。先生からの質問、勉強仲間からの疑問に対して、頭の中をフル回転させます。緊張感のある時間です。 実務家教員からの指導では、貴重な実務の話を聞けます。仕事内容の一端を知ることができ、将来の自分をより具体的に思い描くことが出来ます。
授業が終わると、自習室に戻り復習です。自分では解消できない疑問点が出てくれば、勉強仲間に尋ねたり、オフィスアワーを利用して先生に質問しそれを解消します。授業中に指示のあった資料は資料室で探します。ここは、勉強仲間との情報交換の場でもありリラックスできます。
入学すると、勉強中心の生活となります。生活は一変すると思います。ただ、皆が必死に勉強に取り組んでいる様子を目の当たりにすれば、じゃあ、自分もという気持ちになります。新しい環境の中で、自分が変わっていくことを自覚できると思います。
是非、岡山大学法科大学院で新しい生活をスタートさせてください。
山崎 健一郎/平成21年度修了生 |
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私は岡山大学法務研究科(既修コース)に平成20年4月に入学し,平成22年3月に修了しました。新司法試験には,今年2回目の挑戦で合格することができました。
ロースクールでの生活を振り返ると,やはり,仲間との交流のことが思い出されます。私たち平成20年度の入学者は,既修コースの入学者が3名と,未修コースの入学者が55名でした。私たち既修者3名は,そのうちの1人が特に未修者の仲間に勉強を教えることに熱心であったこともあって,それぞれ濃淡は違いながらも,日頃の勉強方法についての相談や期末試験の再試験対策などを通じて,入学年次の同期(5期生)と仲良くさせてもらいました。また,卒業年次の同期(4期生)とも,同じカリキュラムを共に学ぶ中で,情報交換などをさせてもらいました。彼らからは,むしろロースクールの先輩として,さまざまなローでの生活情報を教えてもらうなどして仲良くさせてもらいました。私は年齢が40代ということもあり,周りから浮いてしまいかねない立場でしたが,既修者の仲間を媒介として,このように2代にわたる同期と仲間としての交流をさせてもらうことができました。
このように多くの仲間にめぐり会えましたが,ロースクールでの勉強はそれなりにきついですし,家庭の事情などで卒業を待たずにロースクールを去った仲間もやはり何人もいます。単位の取得が思うようにいかず,現在進行形で卒業目指して頑張っている仲間もいれば,ロースクールを修了後,新司法試験に挑戦し続けている仲間,受験はしたが成績が伸びず,来年は公務員試験に専念するという仲間もいます。特にロースクールを離れた仲間については,私が消息を知っているのはわずかの人たちですが,最近,そんな仲間の数人から,公務員試験に合格したとか,結婚して岡山に戻ってくるといった連絡を受けました。ロースクールに入学する時には,誰もが卒業して新司法試験に合格し,法曹になることを夢見ていても,この夢が全員同じようにかなうとは限りません。それでも,法曹になるという夢とは別のところでそれぞれの夢をつかんだ仲間がいることは,同じ場所で同じ時期に学んだ仲間として,とても励みになりました。
法曹以外の進路に進む人がいるのはどのロースクールでも多かれ少なかれあることだと思いますが,そうした仲間との交流も大切にしながら,互いに高め合える雰囲気も持っているのが岡大ロースクールの良いところだと思います。岡大ロースクールの雰囲気は,地方の中位レベルのロースクールにありがちなのでしょうが,やはり,ある意味のんびりしたところもあります。しかし,同時に仲間と助け合いながら切磋琢磨できる環境でもあります。今年は新司法試験に合格した人が5期生を中心に23人も出ましたが,教員の先生方も,合格者の仲間も,チームワークの力が結実した成果だと言っています。これは角度を変えてみれば,上記の岡大ロースクールの雰囲気がよい方向に作用したものといえると思います。
さて,私自身の話に戻りますと,冒頭にも書きましたが,私は今回2回目の受験で合格することができました。他の同期の既修者2名は昨年度のうちに合格してしまったため,私だけ取り残された形になってしまいました。私が既修1年目に勉強のやり方などについて,偉そうに(!)教えていた未修者の同期と一緒の受験となり,今年はいささか居心地の悪い面もありましたが,これまで頑張ってきた彼らの姿を見ていたため,私も彼らに負けないよう努力する励みになりました。また,答案練習など顔を合わせる機会では,昨年度受験した際の会場の雰囲気等,多少は情報を提供することもできたと思いますし,ちょっとした挨拶を交わしたりするなどで,互いに元気を分かち合えたと思います。直接ゼミを組むなどしてはいませんでしたが,私が今年合格できた陰には,やはり仲間としての彼らの存在が大きかったと思います。
岡大ロースクールを巣立ち,新司法試験に合格した私たちも,それ以外の人たちも,今後大小さまざまな壁に直面することになると思います。そんなときに協力し合える関係をこれから築いていきたいと思っています。また,地方のロースクールの統廃合が話題になり,法曹をできるだけ多く輩出することがロースクールの使命としてクローズアップされがちではありますが,法曹になる(なった)人も,法曹以外の進路に進んだ人も,誰もが岡大ローのOB・OGであると胸を張って言える,ちょっと夢のような話ではありますが,岡大ロースクールはその可能性を秘めていると思います。そうなるような雰囲気・校風をこれから作っていっていただきたいですし,私も微力ながら協力していきたいと思います。
畝原 孝明/平成22年度修了生 |
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1 ロースクールでの生活
4期未修、畝原孝明といいます。わたしは、岡山大学法学部出身で、岡山大学法科大学院を経て、今年、司法試験に合格しました。
私は、基本的に朝、大学に来て夜10時まで勉強する生活を続けました。大学には自習室が備わっており、また資料室には多くの書籍、法律雑誌があるため、勉強する環境として優れていると思います。
また、同じ道を志した仲間がたくさんいるので、一緒に勉強するだけでなく、ときには相談に乗ってもらったり、気分転換にでかけたりしながら、学生生活をすごしていました。自分ひとりで勉強し続けるということはなかなか大変ですが、まわりの支えもあって何年も勉強を続けられたのだと思います。
2 ロースクールでの勉強
ロースクールでは、授業の予習復習を中心にして勉強していました。わからない箇所があれば、先生方に質問に行くか、あるいは自分で文献を調べるなどして、疑問点は残さないようノートにまとめるなどして、学習を進めていきました。私の勉強方法としては、とにかく基礎を固めることでした。基本書を繰り返し読むことで制度や概念、学説を理解し、また、判例百選を読むにあたっては結論だけを覚えるのではなく、事実を正確に把握し、判例がなぜその結論に至ったのかという点に注意して判例の理解を深めました。
また、複数人で集まってゼミを組んで、論文の過去問を解くなどの勉強もしていました。
授業は、2年次の演習科目から少人数制になります。そのため、発言の機会も多くなり、いい緊張感の中で授業を受けることができ、予習にも力が入りました。また、演習では一つの問題に対していろんな立場から考える姿勢が身についたと思います。この時期、課題に追われながらも集中して勉強できたことが、3年次および卒業後の総仕上げの土台となり、その後の勉強がスムーズに行くきっかけになったと思います。
3 おわりに
受験勉強は、ときにはつらく感じることがあるかもしれません。そんなときこそ、これまでの自分の努力を思い返して、また、がんばってみてください。
青木 一馬/平成22年度修了生 |
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5期未習の青木一馬と申します。平成20年に岡山大学法学部を卒業し、岡山大学のロースクールに入学しました。平成23年にロースクールを卒業し、無事新司法試験に合格しました。
私が合格できた理由は、①授業に集中したこと、②過去問をしっかり分析したこと、③問題演習を繰り返したこと、④モチベーションを保てたこと、です。
まず、①授業に集中したことです。私は在学中は授業の準備におわれていました。しかし、授業で扱われた分野だけは後であまり復習しなくてもよいように、予習を十分にし、授業に集中していたつもりです。そのおかげで、授業で扱われた分野の問題が出たときには授業の風景が浮かんできて、問題に答えられる、という状態になっていました。
次に、②過去問をしっかり分析したことです。3年生の夏休みから新司法試験の論文過去問の分析をはじめました。時間を計って新司法試験の論文の問題を書き、自分の答案を上位の再現答案と比べながら、出題趣旨、採点実感を分析しました。これにより新司法試験ではどのような答案が求められているのかがわかり、答案構成がかなり楽になりました。
短答についても、まず、過去問を年度別でときました。そして体系別の過去問集に肢ごとに間違えたところをチェックしました。間違えた肢を何回か復習し、最終的に1時間で苦手なところを復習できるように厳選しました。また、出題された条文については普段使う六法に出題年度をメモしていき、六法を見ればどこが出やすいのかすぐにわかるようにしました。このような勉強により、苦手分野や、出題されやすい分野を明確に意識できるようになり、効率的な勉強ができるようになったと思います。
③問題演習を繰り返したことですが、私は論文で時間不足になって失敗することが多くありました。特に答案構成に時間がかかり、うまくできなかったことが原因でした。そのため、旧司法試験の問題や、新司法試験対策の問題集を、通常の半分の時間で答案構成する練習をしました。また、多くの問題をすることを心がけました。多くの問題の答案構成を短い時間ですることで、自分なりの答案構成のパターンが出来上がってきました。これによって答案構成のスピード、内容の精度が高まりました。本番でも時間不足で失敗することはありませんでした。
最後に、④モチベーションを保てたことです。3年間は長く、どうしても勉強のやる気が出ないときはあります。そのような時は自分を支えてくれている方々のことを考え、やるしかない、と自分に渇を入れました。経済的に苦しいのに仕送りをしてくれる両親、お忙しい中、ゼミの解説や答案の添削をしてくださる先生方、いつも一緒にいて、励まし、また刺激してくれる友人達のことを考えると、これ以上迷惑をかけてはならない、必死に勉強しよう、との思いがわいてきました。
以上の4点が私の合格の秘訣です。②③の勉強方法を教えてくださったのも、ロースクールの先生や先輩の方々でした。そうすると私が合格できたのは本当に岡山大学のロースクールのおかげです。これからロースクールへの進学を希望される方もぜひ岡山大学のロースクールでご自身の目標を達成されるようお祈りします。
片岡 靖隆/平成22年度修了生 |
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こんにちは。今年度本研究科を卒業し、平成23年度司法試験に合格した片岡靖隆です。このページを見てくださる方の大半は法科大学院経由で司法試験を受験することを考えていると思いますので、学生生活及び試験当時のことについてお伝えしようと思います。
まず、ロースクール在学中について。私は未修者として本研究科に入学しました。法学部出身でしたが、学部時代にろくに勉強をしていませんでしたので、右も左もわからない状態でした。しかし、当時を振り返ると、あと3年もあるんだからという甘えもあり、あまり真剣に勉強していなかったと思います。そのため、1年次に習得しておくべき知識を満足に習得できておらず、2年生の時は悲惨な状況になってしまいました。2年生になると演習科目を履修することになるのですが、基礎的な知識がないばかりに、議論の筋道が理解できず、そのことがストレスとなって勉強が進まないという悪循環に陥ってしまいました。3年生になってから基礎知識の重要性を認識するようになりましたが、もっと早いうちに認識できればよかったと思います。
そんな中でも何とか卒業できたのは、民事訴訟実務や刑事訴訟実務などの実務系科目や模擬裁判・エクスターンシップという実習科目やアドバイス室などの支援体制が充実していたおかげだと思います。実務系科目では民事の訴状作成や刑事事実認定などを学ぶことができ、その面白さを知ると同時に難しさも体験することができました。また、模擬裁判・エクスターンシップでは、普段経験しない裁判官の思考を模擬ではありますが体験することができましたし、エクスターンシップではまさに生の紛争に触れることができ、紛争を法的に解決する難しさを体感することができました。これらを通じて司法試験受験へのモチベーションを維持することができました。さらに、本研究科では、勉強方法等について悩んだ際には、実務家の先生と研究者の先生が二人一組となってアドバイスしていただけるアドバイス室が設置されていますが、そこで色々とアドバイスをいただきました。そのすべてを実践することはできなかったと思いますが、ずいぶん心が軽くなったことを覚えています。また、先生方には期末試験の講評やオフィスアワーでの質問でも丁寧に対応していただきました。先生方には本当に感謝しています。
さらに、友人たちの存在も大きかったと思います。一緒にゼミを組み勉強していた友人たちには本当にお世話になりました。このような友人たちがいなければ私がここまで勉強を続けることはできなかったと思います。改めて友人たちの大切さに気づかされた気がします。
次に受験時について。本試験は5日間(内中休み1日)というこれまでの体験したことのない長期間の戦いでしたので、コンディションには十分注意すべきであると思います。また、これは人によって分かれると思いますが、私は寝坊したらどうしようか、という不安を感じていましたので友人たちと同じホテルに宿泊しました。そのおかげで試験期間中は一緒に食事にいったり、ホテルのロビーで雑談したりすることができ、不安を共有することができたのでこの点はよかったと思います。
また、受験時には時間配分と最後まであきらめないことに気を配りました。答案作成が他人より遅いと感じていたことと、最後の設問にも配点があるのだから満遍なく解答することが合格への近道だと考えていたこともあり、答案構成は最大でも40分で切り上げ、答案作成にとりかかりました。また、試験は総合評価であるため、1科目できなくてもほかの科目を頑張ればなんとかなるとわかっていましたので、他人よりも1点でも多く取ると自分に言い聞かせていました。
最後になりましたが、合格するためには司法試験で何を聞かれているのかについて把握することが必要だと思います。そのためには、出題の趣旨、ヒアリング等を自分なりに分析することが必要です。
司法試験受験は精神的にも肉体的にもきついものです。しかし、その後には法曹という自分のなりたかった将来が待っています。つらくなったときには自分の目指す将来像を思い出してください。きっと踏ん張ることができるはずです。頑張ってください。
坂本 純平/平成22年度修了生 |
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平成23年度司法試験の合格発表から、早いもので1か月が経過しました。試験受験直後は試験でできなかったことばかりが思い浮かび、「今年はだめだろう」と考えていました。しかし、合格発表があり、発表後はあまり実感が持てずにいたが、書類の作成や祝賀会などに招いていただき、やっと実感がわいてきたところです。
私は、岡山大学法学部出身で、学部時代はあまり勉強もせず、サークル活動ばかりに力を入れていました。そのため、成績は芳しくなく、ゼミの先生も『不真面目な学生』という印象を待たれていたと思います。
そんな私が、ロースクールに入ろうと思った理由は、せっかく法学部に入ったのに、ろくに法律のことが理解できていないのではないか。社会で役に立つ程度に法律を勉強したいという、今思えば、非常に安直な理由でした。
岡山大学ロースクール入学後は、学部時代の勉強不足のため、なかなか授業が理解できず、学校の自習室で閉室時間までいることが多くなりました。ロースクールでの生活は自分が入学前に想像していたよりも、厳しいものであり、定期試験の前には、不安で眠れなくなったり、胃が痛くなったりしました。しかし、なかなか成績は伸びませんでした。
このままでは、司法試験合格どころか、卒業すらも危ないと思った私は、勉強方法を考え直すことにしました。今までは、基本書を流し読みにして、ろくに条文を引くこともなかったため、基本的な考え方がおろそかになっているのではないかと考え、しっかりと条文を引き、考えながら基本書を読むことにしました。なぜ、このような記述がなされているのか、判例はどうしてこのような規範を定立したのか等を理解することにより、暗記ではない、思考が身についたように感じ、成績も伸びていくようになりました。
このように、学校の単位の取得には一応のめどが立ったのですが、司法試験対策は何もできていませんでした。そこで3年になったころから、同様の不安を持つ、同級生とゼミ形式で新司法試験の過去問を解くことにしました。書いた答案は、既習コースの同期の方に見ていただいたり、実務家、研究者の先生に添削・解説をお願いしました。どの先生もお忙しい中、私たちのために時間を割いてくださり、自分のできていないところ、人のいいところを発見することができたと思います。そして、ゼミを重ねるうちに、自分の実力がどの程度か把握することができるようになり、客観的に自分を見つめることができるようになりました。今思えば、自分の実力を把握でき、何が足りないかを理解することができたことが、合格ラインに滑り込むことができた一番の要因であったと思います。
岡山大学ロースクールは、合格者を毎年何十人も出すようなロースクールではありません。しかし、それだけに、先生方、学生はいい危機感をもって、日々の学習・授業に取り組んでいると思います。私の合格の要因は、このような環境の中、仲間同士で励ましあい、お互いを高めあったこと、先生方が自分の時間を割いてまで、指導してくださったことに尽きると思います。
最後になりましたが、司法試験は才能のある人しか受からないような試験ではないと思います。日々の勉強を怠らず、自分を信じて頑張ってください。
塩崎 篤史/平成22年度修了生 |
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5期未修の塩崎篤史といいます。私は法学部出身ですが大学時代には部活に熱中していて勉強は真面目に取り組んでいなかったため、ローに入ってから苦労しましたが、同級生や先生方の力添えがあったため無事合格できました。以下では私の体験の一部を語らせていただきます。
1・2年次は自分の知識不足を承知していたため、もっぱら基礎的知識の習得に力を入れていました。その勉強は、主に授業の予習・復習です。予習に時間をとられるため、復習の時間は十分とれず、中間テストや期末テストの直前にしか復習をしていなかったのですが、予習のノートは見返せばそれが試験対策になるようなものを作成していました。具体的には、設問に対して答案風に解答を作り、間違いや不足があれば余白に書き足すということをしていました。ちなみに、私は論点ノートを作っていなかったですが、司法試験直前期は予習の際に作成したノートと授業中のメモを取ったノートを見返していました。これで十分試験対策になったと思います。このように司法試験とローの授業を関連させることができたことは合格の一歩になったと思います。
3年次になってから、同級生とゼミを組んで、答案を書く練習をしました。僕はこれが合格の一番の原因(秘訣)だと思っています。答案を書いていると、知識を暗記するだけではうまく事件を処理できずまだまだ法律を使いこなせていないことを実感しました。例えて言うと、野球のルールブックを読んでいるだけでは野球は上達せず、実際に野球の練習をしたり、試合をしたりして上達するのと同様に、法律もただテキストを読むだけでは使いこなすことはできず、問題を解くことで法律を使って事件を処理する能力は上達するものだと思いました。また、答案を数多く書くことで規範や要件の理解も深まり、それに伴って当てはめも充実したと思います。自分の使っているバット(規範や要件)の長さや重量をきちんと知った上でヒットを狙って打てる様になった気がしました。
そして、問題を解く中で自分に欠点がある場合、ゼミの仲間と答案の読み回しをして悪い点を指摘してもらったり、他人の答案を読んで自己の答案の足りない部分に気付いたりするという事がありました。自分の欠点は一人で勉強していてはなかなか発見できないこともあるので、誤った方向にいかないよう軌道修正できたことはゼミを組むメリットだと思いました。
最後に、司法試験合格には近道はなく、地道な努力が必要だと思います。地道な努力を積み重ねる勉強の過程で自分に合った勉強方法を確立するにあたり、私の体験記が皆さんの一助になれば幸いです。
重松 弘樹/平成22年度修了生 |
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1 はじめに
皆さんこんにちは。岡山大学大学院法務研究科5期生未修の重松弘樹です。私は法曹を目指して岡山大学の法学部に入学しましたが、法学部時代にはロースクールに入学して勉強すればよいという甘い考えを持っていたために司法試験の勉強はほとんどぜず、4回生になってやっと焦りだしたという状況でした。
2008年に幸い岡山大学のロースクールに入学することができ、本格的に勉強を開始しました。そこで、どのような勉強をしてきたのかを各学年別に紹介していきたいと思います。
2 1回生
1回生前期のときには、まずは基本を固めるのが大事であると思ったため、予備校に通ったり過去問を解いたりはせず、授業にあわせて基本書や判例を読み、ノートにまとめていました。しかし、途中でノートにまとめていくこと自体が目的になっていて理解できていないことに気づき、この方法は自分にあっていないと悟りました。そこで基本書や予備校本を読みまくって覚える方法に変えました。
また、6月ぐらいからは期末試験対策として問題を書くことをグループを作ってやり始めました。このグループでの答練は形を変えながら最後まで続きましたが、結果的には大変よかったと思います。
また、この頃プレテストの択一を勉強もせず解いてみましたが、民訴0点をはじめとして驚異的に低い点数をとってしまい、問題を解く前に基本知識を習得しないと話にならないことを改めて自覚しました。
後期も基本的に同じ勉強方法をしましたが、この年の合格者の方と話して、条文の大切さが分かったので、条文の趣旨・目的・要件・効果などを意識しながら六法を読むようにしました。
3 2回生
2回生前期になると演習などが始まり、大変忙しかったので、授業の準備と復習に追われて受験勉強はほとんどできませんでした。しかし、先生方は試験対策に役立つような内容の授業をされていましたので、授業をしっかりこなしていれば力がつくと信じて頑張りました。
夏休み頃には論文答練に参加し、酷い点数を取りながらもうけ続けました。これにより論文試験の雰囲気などを知ることができてよかったと思います。 後期には授業の密度も少し下がるので、既習者の方と一緒に新司法試験の過去問を書いて検討することを始めました。この時期にはじめたことで新司法試験対策も何とか間に合ったのではないかと思います。また、この時期に選択科目の勉強を授業を聴講することで始めました。3回生に入ってからではなかなか間に合わないと思いますので、早めに始めるのがよいと思います。
4 3回生
3回生になると卒業のための必修科目の勉強を新司法試験対策になるように考えながらやりました。また、クリニックや各種選択科目など、自分の興味のある授業もたくさん履修しました。これまでの経験で、私は授業がないとさぼってしまう傾向があるのがわかっていたので、しんどいかもしれないと思いつつ、授業をたくさん履修するようにしました。 また、この時期には本番を見据えたペース配分を考えはじめました。私はあまり頑張りすぎると本番直前に失速するという傾向がありますので、夏休みまでは普通のペースでやって、夏休み明けからペースをあげて、年明けから本番までに一気にペースを上げて本番に一番良い状態を合わせようと経過しました。実際には結構サボることが多かったので上手くいったのかはわかりませんが、この時期には本番を見据えて、体調やメンタルの管理を考えることも大切だと思います。
後期には予備校の模試や学校で先生に添削を依頼して答練を積極的にやり、落ちない答案を書く練習を行いました。
5 直前期と本番
卒業してからは授業もなくなり、一気に気が抜けてしまいました。このままではまずいと思いつつ、この時期には人それぞれやりたいことが異なるので答練やゼミも控え目になっていましたのでなかなかモチベーションがあがりませんでした。
しかし先生や仲間と話したりして、今までの苦労を思い出し、何とか本番まで心が折れずにやり抜くことができました。
本番は長丁場であり、一日最長で7時間もありましたので、相当疲れました。また、試験の手ごたえもありませんでしたので、途中で帰ろうかとも思いました。しかし、ずっと一緒に勉強してきた仲間たちのことを思い出し、自分ひとりがあきらめるわけにはいかないとの思いから、何とか最後まで書ききることができました。
6 最後に
ロースクール制度にはいろいろな批判もありますが、私はロースクールがなければ司法試験に合格することはできなかったと思っています。学校という空間の中で先生や仲間たちとふれあい、一緒に勉強していくことで、自分に足りないものを見つけ、対策をたてて頑張ることができたからです。また、心が折れそうなときに励ましてくれたり、一緒に飲んでくれる仲間たちがいたからこそ、最後まで頑張っていくことができたと思います。その意味では、本当にロースクール制度には感謝しています。みなさんも腐ることなく、制度の中で精一杯のことをやれば、必ず道は開けてくると思います。私の文章が少しでも法曹を目指すみなさんの助けになれば幸いです。
最後になりましたが、在学中指導していただいた先生方、仲間たちには感謝してもしきれません。本当にありがとうございました。
武井 奈保子/平成22年度修了生 |
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岡山大学大学院法務研究科5期未修武井奈保子と申します。
今年司法試験に合格することができ、法務研究科で過ごした3年間について振り返ってみました。そこから感じたことは、司法試験を乗り切るためには、知識だけでなく、体力、精神力も大切であったなぁということです。勉強面だけでなく、体や心に不安を抱えて過ごしている院生の方やロースクールを目指している方は少なくないと思います。そんな人たちに少しでも参考になればと思い、また勉強面での岡大ローのことはきっと他の合格者の方が役立つことを書いてくれているでしょうし、私は3年間の心と体の話をしてみようと思います。
まず、体力面ですが、もともと体が弱く、東京での大学時代に持病をこじらせていた私にとって、治療と体力づくりは大きな課題でした。司法試験は5日間にわたって行われ、試験の日は1日中座りっぱなしです。前日は緊張からよく眠れないことも多く、5日間を終えるだけでもかなりの体力が必要です。入学当初、このままではいけないと思った私は、1年の夏休みに手術を受け、体力作りに取り組みました。体力づくりで行ったのは、散歩です。夜、自習室から帰った後に、大学周辺の道路や公園を歩きました。また、たまにですが休日に趣味の登山で体を動かしていました。日中は自習室でじっとしているので、外の空気を吸うことは気分転換にもなりましたし、いい運動にもなりました。こうやって、マイナススタートだった体力が人並みに回復し、司法試験受験の時には5日間を乗り切れるようになりました。岡山はちょっとした自然が近くにあって、とても環境のいいところで、元気になることができたのはそのおかげだと思っています。
次に、精神面ですが、入学当初、私は自由に過ごしていた大学生活と180度変わった環境についていけず、落ち込むばかりの毎日で、心のバランスを壊していました。しかし、前述の手術のための入院中に、勉強が忙しいにもかかわらずお見舞いに来てくれた仲間にロー生活を続ける元気をもらいました。ローでの仲間は、勉強に関して刺激となる存在であるとともに、安心を与えてくれる存在でした。忙しいロー生活の苦労を分かち合って、泣き言も冗談も言い合いながら、一緒に毎日を過ごしました。岡大ローの定員は、少なすぎず、多すぎず、中間的な人数でコミュニティが作りやすかったと思います。また、先輩・後輩との距離が近く、勉強を教えてもらったり、相談に乗ってあげたり、そのような交流にも励まされました。さらに、先生との距離も近く、気軽に声をかけてもらって相談に乗ってもらったり、激励をしていただいたりしました。
正直なところ、ロー生活は楽なものではありません。それでもやりきるためには、体にも心にもそれなりにパワーが必要です。どちらにも不安を抱えていた私が司法試験に合格することができたのは、岡山と言う土地、岡大ローという環境で勉強することができたからだと思っています。本当にありがとうございました。
中浜 孔貴/平成22年度修了生 |
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1 はじめまして。中浜孔貴です。私は、岡山大学法務研究科(未修コーズ)に2008年に入学し、2011年3月に卒業、同年の新司法試験に合格することが出来ました。私が合格することが出来たのは、岡山大学において優れた先生や仲間、環境に恵まれたからだと感じています。いくつか印象に残っていることを話したいと思います。
2 法科大学院の授業では、1年時は講義形式が中心で、2年時から演習が中心になります。特に演習では少人数授業が徹底され、双方向の授業が展開されます。少人数の演習形式授業は、質問のしやすさや先生が学生の理解度を確認しながら授業を進められる点で優れていると感じました。きちんと予習をしていかなければすぐにボロが出てしまう厳しいものでしたが、だからこそ予復習に集中して取り組むことが出来ました。
3 少人数制は、先生方に学生一人一人のことまで気にかけていただける点でも大きなメリットがあります。自分で考えてどうしてもわからないところは気軽に質問できますし、研究室にお邪魔して先生方に悩みを聞いていただくこともありました。こういったことは都市の大型ロースクールではなかなかできないことではないかと思います。
4 私の場合は、同期の仲間に恵まれたことも合格につながる大きな要因でした。ロースクールにいると本当に合格できるのかと不安になることも多いものですが、意識の高い仲間と切磋琢磨して一緒に乗り越えてきました。特に、私は答案を書く練習が苦手でしたが、同期に引っ張ってもらうことで自分を奮い立たせ、答案練習から逃げないようにしていました。試験本番でも何人かで同じホテルに泊まり、一緒にお好み焼き等を食べに行ってリラックスしていました。
5 その他にも、岡山、広島等で活躍する多くの実務家の先生方のバックアップにより大変貴重な経験をさせていただきました。「クリニック」の授業では、実際の法律相談を体験させていただき、先生から厳しい意見を頂戴したり、間近で先生の相談の模様を拝見することが出来ました。これらにより実務を肌で感じることが出来るとともに、勉強に向かうモチベーションが湧きました。
6 岡山大学での3年間はとても語り尽くせないような濃いものでしたが、思いつくままにいくつか述べてきました。冗長になってしまいましたが、これを読んだ方が一人でも岡山大学に興味をもって入学され、新司法試験に合格されることを願っています。
西馬 由希子/平成22年度修了生 |
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こんにちは。私は、平成20年に未修コースに入学し、平成23年3月に卒業後、同年の新司法試験に合格しました、西馬由希子です。学部も岡山大学法学部出身ですので、岡山大学には計7年もお世話になりました。せっかくこのような執筆の機会をいただきましたので、私の在学中のことを振り返ってみようかと思います。
ロースクール1年生のとき。最初は、勉強の仕方もわからず、とにかく授業についていくので精一杯だった記憶があります。予習と復習に追われ、自分の勉強といったものはほとんどできていませんでした。しかし、予習と復習だけはきちんとしようと思い、丁寧にやっていたように思います。このときに、分からないなりに丁寧に基本書を読んだり、条文をひいたり、ノートを作ったりしておいたことで、後々の勉強につながる種まきができたのかなと思います。
ロースクール2年生のとき。前期は、1年生のときと同様、あまり自分の勉強ができていませんでしたが、それも一段落し、夏休みに入った頃。はじめて自分の勉強方法と向き合うことになりました。全く自分の勉強方法が確立できていない現状に焦り、数多くの合格体験記や合格者ブログを読み漁った記憶があります。そして、それらのほぼ全てで触れられていたのが「基礎を大切に」ということでした。勉強に焦ると、ついつい難しいことを勉強したくなるものですが、思考の展開は、必ず基礎的な部分から始まります。したがって、基礎の部分をおろそかにすると、後々破綻が生じてしまうのだということに、このときあらためて気づくことができました。そして、この夏休み以降、私はとにかく苦手な科目こそ基本書を何回もまわし、徹底的に基礎を叩き込むことにしました。それと同時に、択一の対策を本格的に始めることにもしました。それは、合格者の先輩からも、先生方からも、耳にたこができるくらい「択一はなめちゃいけない」と言われたからです。今思うと、もっと早くから計画的に択一対策をはじめていれば、新司法試験で苦しまなくてよかったかなとも思います。
ロースクール3年生のとき。3年生にはいると、皆頻繁に答案練習会を開いていました。私は、自分のペースで勉強したかったこと、実家通いだったため家中心で勉強したかったことから、参加したいときだけ参加させてもらうという形をとっていました。新司法試験を実際に受けてみて思いましたが、答練等の場で実際に問題を解いていくことは重要だと思います。頭で理解しているものが、実際に答案に表現できるかというと必ずしもそうではありませんし、自分としては普通だと思っていた表現方法が、他の人には伝わりにくいといったこともしばしばありますので、このような状態を解消していく作業がすごく重要になってくると思います。そして、そのためには他の人のアドバイスを素直に聞き入れるということも必要な能力であり、仲間の存在が不可欠となってくるかと思います。ちなみに、私はもともと怠け癖のある人間でしたので、いつもかりかり勉強している友人たちの背中をみて、「自分もがんばらないと」と、最後まで勉強をサボることなくがんばることができました。本当に感謝しています。皆さんも、一緒にがんばれる仲間を見つけることが、合格への近道かもしれません。
最後に。運良く新司法試験に合格することができましたが、まだまだ勉強は続いています。岡山大学法科大学院で学んだことを忘れず、また、同じように勉強を続けている仲間の顔を思い浮かべつつ、これまで以上にがんばっていきたいと思います。
平山 純輝/平成22年度修了生 |
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こんにちは。岡山大学法科大学院5期未修の平山純輝です。私は岡大法学部を平成20年に卒業し、その年に岡大ロースクールに入学、そして今年(平成23年)ロースクールを修了して司法試験を受け合格することができました。現在は11月末から始まる司法修習を待ちながら勉強を続けているところです。
さて、今回、私が岡大ロースクールに入学し司法試験を受験するまでの体験を振り返ることにより、これから入学される方、在学生の方の参考または反面教師になることができれば幸いです。
私は学部時代は真面目に勉強していた方でしたが(といっても定期試験の前だけですが・・・)、入学する頃は「民法94条2項類推って何?」というくらい法律知識がありませんでした。大学4回生の時は講義も少なく、ロー入試のために小論文の勉強ばかりして法律の勉強を怠っていたのが原因でしょう。不安もありましたが、毎日の授業に追われるうちに勉強の習慣が必然的に身につき、なんとか1年間を乗り切ることができました。1年次は講義形式の授業ですので、すんなりなじむことができ、また学部とは違い毎回必ず1回は当たるので良い緊張感を持って臨むことができます。思い返すと1年次では、自分の勉強のペースをつかむこと、良い友人関係を築くこと、授業内容を理解してついていくことが重要でした。
岡大ロースクールを体験した者ならば、誰もが2年次が一番大変だったと言うことでしょう。すなわち、演習形式の授業になりコマ数も増え、毎日予習・復習・レポート課題に追われる毎日だったからです。正直2年次の頃は自分の勉強をする暇はなく、毎日を乗り切ることに必死でした。しかし、今思えば受験に必要な基本的知識はこの頃身につき始めたのではないでしょうか。また、この頃から実務系科目の授業が始まります。岡大ロースクールでは実務系科目が充実しており、実務に就いたときに役立つことや、同時に受験にも結びつことを教えてくださるので、3年次のクリニックとあわせて、将来の自分のビジョンというものを具体的に持つことができました。欲を言えば、この頃からなんとか時間を作って択一等を意識した勉強をしていればよかったなと思います。
3年次はやはり本格的に受験を意識した年でした。2年次とは違い、授業以外の自分の時間が多く取れるので、友達と、歩みを合わせて1日に判例百選をいくつ読むとか、過去問や演習書を使って答練を行うといった自主ゼミをしました。友達の答案を読むことで、自分の位置を知ることができ、また身近に目標もできるので、自主ゼミが合格に直結した最大の要素だと思います。実際にここから多くの仲間が合格しました。反省点としては、1,2年次のうちに基本書を読み込んでおくべきだったことと、家族法など受験生が手薄になる分野の勉強を余裕を持って行っておくべきだったということです。
受験時は、友人達10人くらいで広島のホテルに泊まりました。受験時はよほどの人でない限りナイーブになるので、学校での雰囲気を広島に持ち込めたことは緊張や不安が紛れてよかったです。また実際の試験は、中日を挟んだ5日間の長丁場です。直前期に予備校で実際の試験の日程で行う模試を受け、そのときは精神的・体力的にも問題ないなと感じたのですが、本番を経験したあとはもう二度と受けたくないと思うほど心身ともに疲れ果てました。それを見越して体調管理をすることをお勧めします。試験の最大の反省点としては、答案構成に時間がかかりすぎ、時間切れのため、わかっていることさえも書き切れないということが挙げられます。同じことで悩んでいる皆さんは、今のうちから○○分で答案構成は強制的に打ち切るといった練習を続けてみてはどうでしょうか。
受験後ではありますが、岡法会の夏季法律相談会に参加して、多くの弁護士の先生とお話ができモチベーションを高められたことも印象に残っています。専任教員以外の弁護士の先生とじっくりとお話しする機会はあまりないので、在学生の方は積極的に参加してみるのがいいと思います。またロースクールに興味のある岡大法学部の学生も、弁護士の先生に加えてロースクールの学生と話ができる機会でもあるので是非参加してみてください。 このように、私の3年間を振り返れば、ロースクールの先生方と友人たちの力添えがあってこその合格だったと思います。岡大ロースクールは研究者教員と実務家教員の連携があつく、またこちらからお願いすれば忙しい合間を縫って授業のフォロー等をして下ったことも大変ありがたいことでした。また、ロースクールには同じ目標を持った仲間がたくさんいるので、一人で悩まず苦楽を共にすることも合格への近道だと思います。
最後になりましたが、お世話になった先生方、仲間達、本当にありがとうございました。このような素晴らしい方達に囲まれて勉強することができ幸せでした。そして、これから司法試験を受けるみなさん、次はあなたたちの番です。是非この岡大ロースクールで合格をその手に掴み取ってください。応援しています。
道山 智成/平成22年度修了生 |
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はじめまして。私は法務研究科5期未習の道山智成といいます。平成23年度新司法試験に合格しました。
私は旧試験の受験経験はありませんので、旧試験の実際について多くを知りません。しかし、現行試験においては、「ロースクールで何を学んだかが問われる」ということが、旧試験との一番の違いであると思います。このことは、ロースクール制度の理念として、当初より提示されていますし、毎年発表される、試験の出題趣旨や採点実感でも明らかにされています。
そこで、私自身のこれまでの3年間を振り返って、岡山大学法務研究科で学んだことを述べていきたいと思います。ロースクールへの進学を考えている方、在学生、その他岡山大学法務研究科に興味を持たれた方にとって、ご考察の一助となれば幸いです。
1年次では、講義形式によって法律を学びます。当時私は、2年間ほど岡山大学法学部で教育を受けていましたが、まだまだ条文を読むことに慣れていませんでした。今になって思えば、純粋未習に近い状態であったと言えます。
ゼロの状態から、3年以内に一端の司法試験受験生になるためには、最初の1年間で基礎を徹底的に学ばなければなりません。また、以後3年間ロースクールで法律を学び続けることになるのですから、「そもそも自分にとって法律を学ぶ意味は何か」「どのような法曹を目指すのか」ということも、入学後改めて問い直される必要があります。
岡山大学の先生方は、皆、上のことを熱心に(それはもう嫌と言うほど)叩き込んでくださいました。私にとっては、ときに法律学の難解さに挫けそうになり、ときには法律を学ぶことの楽しさを知った一年間でした。法律学の深さを知り、実社会において法律が機能していく様を学んだことは、その後も学習を続けていく上での大きなモチベーションの源となりました。
2年次では、演習形式の授業がはじまり、また同時に実務家の先生方との接点も増えていきます。演習の中で、先生の質問に対して十分に応えることができず、1年間何をやってきたつもりだったのだ、と反省する日々でした。ようやく手に馴染み始めた基本書と六法をめくりながら、再び基本を学び直しました。しかし、それでも「基本ができていない」「判例の読み込みが足りない」と指摘を受け、悔しい思いを何度もしました。
また、演習の準備のため、第一審から読んだ最高裁判例もそれなりの数に及びます。司法試験の問題文に臆さず取り組めたのは、この時期に、比較的複雑な事案を読むことに慣れ始めたことが大きいと思います。
2年次で最も思い出に残っているのが、民事訴訟実務の演習の時に起きた出来事です。私たちが起案した訴状を読まれた先生が、「あなたたちの訴状には魂がこもっていない!」と一喝されたのです。覚えたての要件事実論を振り回していただけの私たちに対し、先生は「もっと深く、真剣に、当事者の地位に立って事案を読まなければならない。」「実務家になる、ということは書面を武器にこれから生きていく、ということである。」と話をされました。
司法試験本番の民法の問題を前にしたとき、はじめに思い出したのが上の先生の言葉です。そこで、自分なりに魂を込めた答案を書いたつもりです。このことが採点者にも評価され、合格に繋がったのだと思います。
演習で学習不足を思い知り、また、実務家教員の先生方からは法曹としての視点・姿勢を教わった1年でした。
最後の3年次では、いよいよ迫った本試験を強く意識して学習に取り組みました。同期とゼミを組んで、司法試験過去問の分析等を繰り返し行いました。もちろん、単に受験勉強だけをしていたわけではなく、模擬裁判では刑事訴訟手続きの流れや事実と証拠の関係を体験的に教わりました。また、エクスターンシップでは、岡山大学附設法律事務所において弁護士の先生方の仕事の様子を間近で学びました。これらは、一見すると司法試験とは直接関わりのないことであるようにも思えますが、実際には、模擬裁判で学んだことは刑事系短答式試験で出題されましたし、刑事訴訟法の論文問題にも十分に役立ちました。エクスターンシップで学んだことは、法律家を目指そうという気持ちを新たにし、時に辛い受験勉強を続けていく上での支えとなりました。
最後に、岡山大学法務研究科での学習環境についても振り返ってみますと、非常に恵まれた環境であったと思います。大学内に附設法律事務所を備えているだけでなく、立地上、裁判所にも近いため、実務家の先生方がとても身近な存在であると言えます。空き時間に裁判傍聴へ行き、帰り道で出会った実務家の先生に勉強の調子を尋ねられる、というのは岡山大学ならでは、だと思います。
在学生や、法曹を目指す多くの方が、岡山大学で学び、そしてその第一関門である司法試験を突破することを願っています。
また、私自身、まだまだ未熟ですので、これからも研鑽を続けなければならないと考えております。
山内 弘美/平成22年度修了生 |
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1 はじめに
こんにちは。岡山大学法務研究科5期未修の山内弘美です。司法試験の本番が終わってから結果発表の直前まで、自分はまた来年も受けるものだと思い込んでいたため自分の番号が載っていて本当にびっくりしました。まだまだやり足りないことばかりでしたが、こんな人でも受かるんだと思っていただいて、皆さんの一助になれば幸いです。
2 大学の授業と私の勉強法
①択一対策について
私は択一が苦手だったため、特に行政法と刑訴法の点がなかなか伸びず択一が悩みの種でした。他方、岡山大学は民事法統合という授業が3年時にあり、民事法に力をいれていたため、授業の予復習をしていれば自然と民事系の択一や論述は一定程度の点を取れていたため、民事系の択一の心配はしていませんでした。実際本番でも民事系は平常と同じくらいの点は取れました。
私の点が伸び悩む原因の一つとして、TKCや択一模試を受けても、前回と同じような問題が出ても間違えたことだけ覚えていて、間違えを繰り返すということがありました。
そこで、同じ間違えを繰り返さないための対策として、模試で間違えたところや知識が曖昧なところを各教科ノートに書きだして模試の直前に見直すということをして、知識の定着に努めました。また、授業の予復習の際や空いた時間に判例六法の条文と判例をこまめに見直すということをしました。
私は択一を得点源にするというより足切に合わないようにするよう心がけていましたが、択一は勉強すればするだけ点が伸びるので、今思えば1年の後期くらいから本格的に択一対策に取り組めよかったと思っています。
② 論述対策について
授業の予復習に追われる毎日でしたが、特に復習に力を入れていました。1、2年は基本書を中心に基礎的知識を身につけるようにし、周りに比べて遅れ気味ではありましたが、3年の夏以降から集中的に過去問や模試を書く訓練をしました。少人数のグループを作って各教科先生に添削していただくことによって論述に書き慣れ、また他人の答案と比較することによって表現方法を研究することができたので、とても有意義だったと思っています。
本番では、レポートや授業で習ったことが問われたりしたので、授業を大切にすることは大切だということを実感しました。
3 最後に
本番への道のりは長く、勉強が思う通りにいかないときには気持が折れそうになることがよくありました。しかし、試験勉強は孤独な戦いではありません。試験は全国の受験生との集団戦であり、同じローの仲間と励まし合うことが大切だということを身をもって実感しました。
また岡大の先生や実務家の先生には、勉強中に疑問があるときにお聞きしても懇切丁寧に指導してくださり、また論述の添削をお願いしても快く引き受けてくださって、言葉では言い表せないほど感謝しています。先生方、本当にありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。
この長いトンネルを抜けるとそこには合格、修習、実務という新たなスタートが始まります。現在の法曹の状況では不安も多いかもしれませんが、社会のために活動できることが無限にあり、希望も膨らむと思います。
岡大から一人でも多くの合格者が出ることをお祈りしています。
中田 雅文/平成22年度修了生 |
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私が法務研究科に入学したのは、平成21年の4月でした。
まず、環境に慣れるところから苦労しました。履修登録、成績発表などのさまざまな手続き、レポート等の書類作成をパソコンで行うという便利な環境は、手書きの履修表、成績表の時代の人間にとっては、かえって大変なものです。幸いにも、同級生となる5期生の方々にいろいろと助けていただいて、何とか乗り切ることができました。
既習コースということで、2年次の演習から授業が始まりました。ここで、自分の知識、理解があいまいであったり、誤りがあったりすることが再認識できました。試験に向けて、今までの自分をどう修正していくかを考える上で、これはよかったです。また、両隣の5期生が、とても優秀であるのには驚きました。当初は、その二人が5期未修コースの中でも特に優秀な二人であるとは知りませんでしたので、既習コースにしたのは失敗だったのでは?と思いました。また、なれない環境の中で、予習等に追われてただ毎日疲れていました。集中して勉強するわけでも、しっかり休養したり気分転換したりするわけでもない、中途半端な時間をすごしてしまいました。
少しましになったのは、後期からです。自分なりにペースがつかめてきて、時間的にも体力的にも余裕ができ、先輩や同級生と答練を始めました。答案作成および読みまわし等の検討をしっかりとできたのはよかったと思います。
そのままの調子で、答練を増やしたり、6期生や7期生とゼミをしたりと、3年の前期までは順調に乗り切れていました。このまま試験までいければよかったのですが、いろいろあって後期から少しペースが崩れてしまいました。とはいえ、そのなかでも答練、TAなど、かろうじてある程度の勉強をつづけることはできました。そしてそのまま卒業し、試験を迎えました。
私の法務研究科での生活はこのような感じでした。それまで、仲間はいるものの、基本的には一人でただ何となく、だらだらと勉強してしまっていたわたしにとって、法務研究科で先輩、同級生、後輩と、ともに頑張っていく仲間が多くいる環境はとても有難いものでした。先生方はじめ法務研究科、岡山大学の皆様、外部の実務家の先生方などいろいろな方々のおかげで無事合格することができ、感謝しています。その中でも特に、一緒にがんばった仲間のみなさんに感謝しています。