令和5年司法試験合格者<在学中受験合格者>の声(2024年3月18日掲載)
 令和5年(2023年)から、在学中受験の制度が始まりました。
 従来と同じように、法科大学院を修了した後で司法試験を受験することもできますが、法科大学院の未修3年次・既修2年次在学中であっても、
一定の要件を満たす場合には、司法試験を受験することができます。
 岡山大学法科大学院では、令和5年の司法試験において、7人が在学中に合格しました。
 この新しい制度の下で合格をした2名の在学生に、これまでの歩みを振り返っていただきました。(2024年2月・インタビュー実施)

→その他の合格者の声については、以下のリンクからどうぞ
 令和3年司法試験合格者の声
 令和4年司法試験合格者の声

回答者 令和5年司法試験合格者
Aさん 既修2年次在学中。岡山大学法学部出身(早期卒業・法曹プログラム1期生)。
Bさん 未修3年次在学中。岡山大学法学部出身。


司法試験を受験し、法曹になることを決めたのはいつ頃でしたか。

Aさん
 私は、法学部に入学する時点では、法曹志望ではありませんでした。学部1年生のときに、世界的に活躍する弁護士の講演を聞き、法曹の世界に興味を持ちました。ちょうどそのころ、法曹プログラム(法曹コース)の説明会があり、早期卒業をして在学中受験をすることのできる制度が自分たちの学年から始まることを知りました。この制度の通りに進んでいくことが自分にとってベストな選択だと感じ、だんだんと志望を固めていきました。
 しかし、司法試験を目指すことは簡単なことではないことも分かっていたので、法曹になることについて覚悟を決めたのは、最終的には法科大学院に入ってからでした。

Bさん
 私は、学部時代は公務員になることも考えていたのですが、準備が十分にできていなかったので、とにかくいったん法科大学院に行こうと考えて入学しました。在学中受験の制度を知ったのは、未修1年生の頃です。この話を聞いて、とてもいい制度ができたと思い、すぐにチャレンジしようと思いました。
 同じように在学中受験をしようと考えた同級生とすぐに自主ゼミを組んだりして、準備をしていました。



在学中受験のどのようなところに魅力を感じたのでしょうか。

Bさん
 司法試験は、もともと、法科大学院を修了するなどして受験資格を得れば、5年・5回まで受験することができます。
 在学中受験は、準備の時間が限られるので、1回分のチャンスをつぶしてしまう可能性はあります。ただ、私の場合、もし合格できないことが続いても、5年かけて5回全部を受験することは考えていませんでした。1年早く受験に挑戦すれば、合格できるかもしれないし、そうでなくても試験の経験が積めます。自分にとってはメリットだと思いました。

Aさん
 1年早く受験できるというメリットについてはBさんと同じように考えていました。
 私はそれに加えて、岡大ローのカリキュラムだと、スランプを迎えることなく試験に臨むことができると考えていました。
 岡大ローのカリキュラムでは、既修1年次・未修2年次でしっかりと演習科目(必修)に取り組み、最終学年ではさらに応用的な演習科目(選択必修)が用意されています。この順番で学修が段階的に進んでいる中で、その勢いのまま7月の司法試験受験を迎えることができるようになっています。
 いつか来てしまうかもしれないスランプを恐れることなく受験できると思っていましたし、実際にうまくいったと思います。
 また、私は、学部生のとき、インターン先の弁護士の先生から、実務家になるのであれば少しでも早く合格して早く実務についた方がよいというアドバイスを受けました。最終的には、在学中受験の方を選びましたが、修了後の受験にもメリットはあると思います。時間の余裕ができますので、計画的に勉強しやすいと思います。岡大ローでは、実務科目の履修時期を、自分の受験スタイルに合わせて決めることができ、修了後受験に即した履修計画も立てられますので、準備をしっかり整えて受験するという方法もあると思います。



岡大ローの授業はいかがでしたか。

Bさん
 在学中受験の場合、修了後受験に比べて1年早く受験をすることになります。当然、司法試験までの勉強時間数自体は少なくなります。しかし、試験が在学中にやってくる分、講義や演習で得た知識や考え方が薄まらないまま試験を受けられました。岡大ローの授業は、司法試験を受けるのに十分な内容が揃っていますし、最終学年で受講できる応用的な演習科目は、司法試験につながるものだったと実感しています。
 私は、課外ゼミについても全て参加していましたので、どの科目も継続的に勉強ができていたと思います。

Aさん
 既修コースの場合、1年次前期に民事訴訟法や刑事訴訟法等の演習科目を受けます。その後、後期は、刑法や商法等の演習科目があります。それぞれに、しっかり勉強をする必要があるので、私の場合は息切れしないように工夫する必要がありました。そのため課外ゼミはある程度セーブするなどしていたのですが、既修2年次の前期には、司法試験の受験前にもう一度、公法系・民法系・刑事法系の応用演習科目を選択できるので、リカバリーできたと思います。



現在の制度では、同じ学年に在学中受験をする人としない人がいるということになります。

Bさん
 みんなで同じ授業を受けていましたが、支障を感じることはありませんでした。最終的な目標は同じですから、みんなで同じ方向を向いて勉強できていたと思います。

Aさん
 私もBさんと同じように思っています。選択科目や実務科目については履修時期が異なるので、同じ学年でも一部分かれて受講することはあります。



在学中受験での合格の要因は何だったと分析していますか。

Aさん
 試験直前の5月から6月にかけて、恒例の先生方との面談が実施されました。司法試験直前のナイーブな時期でした。私は、あのときの面談に助けてもらいました。このまま司法試験を受けていいのかという不安や焦り、いら立ちなどをうまく処理できないでいたのですが、いいタイミングで、適切な方向にアドバイスをいただきました。
 また、私は法曹プログラムに所属していましたから、学部在籍時から、岡大ローの先生方の授業を受けていました。学部生の頃から、授業を受けて「理解できた」という実感が積み重ねられており、先生たちについていけば大丈夫だという確信ができていきました。学部の定期試験の際には、特に勉強をし直す必要がないくらいになっていました。岡大ローの先生方の授業の中で得られた「理解できた」という実感の積み重ねが、安心感につながっていき、司法試験の合格まで結びついたと思います。

Bさん
 先生たちと自分自身を信じられたことが、合格の要因だったと思っています。自分なりの対策をしっかりとできたこともそうですし、岡大ローの授業の内容に信頼感があるので、日々の予習や復習も、常に全力でできていました。全力でやったことが、大事だったと思います。



司法試験受験後の時期であり、かつ合格発表を迎えた最終学年の後期ですが、どのように過ごしましたか。

Aさん
 単位取得をしなければならない科目がいくつかあったので、勉強を続けていました。実務科目は、これまでの勉強の積み重ねをさらに実務の観点から捉えなおしていく感じです。就職活動や修習に向けた準備等もあるので、忙しく過ごしています。

Bさん
 私の場合は少し時間割にゆとりがありましたので、履修していない科目も聴講するなどしていました。先生の勧めで、久しぶりに裁判傍聴にも行きました。私も忙しく過ごしています。



岡大ローの受験を考えているみなさんに、メッセージをお願いします。

Bさん
 岡大ローに入学されたならば、先生方を信じてついていってほしいと思います。しっかり取り組み、自分のことも信じて勉強をしてください。

Aさん
 困ったことが起こったとき、「困った」といえば助けてもらえるのが岡大ローだと思っています。私たちも助けてもらってきましたので、後輩を助けたいと思っています。岡大ローには頼もしい先生や先輩がいますよ。